言語の発達だけでなく、心の成長や情操教育にも非常に重要な意味を持つ絵本。
子どもが小さなうちは毎晩寝る前に絵本を読み聞かせていた、という家庭も多いでしょう。
今回は小学生にオススメの、「すてきな三にんぐみ」「はじめてのおつかい」「ビロードのうさぎ」の3点の絵本を紹介していきます。
「すてきな三にんぐみ」作・トミー=アンゲラー / 訳・いまえ よしとも
特徴的な黒い帽子を被った「三人の泥棒」が主役のこの絵本。有名な絵本なので、一度は読んだことがあるという親御さんも多い作品ではないでしょうか。
この絵本は泥棒の三人組が悪事の最中に、みなしごのティファニーちゃんと出会ったことで、「こわい泥棒」から「すてきな三にんぐみ」になっていくというお話。
悪い事でたくさんのお金を溜め込んでいた泥棒三人組は、その宝物の使い道をティファニーちゃんに聞かれ困ってしまいます。
三人組は宝物の使い道について考えた事がなかったのです。
そのため三人組は大きくて素敵なお城を購入し、ティファニーちゃんと同じ境遇の子どもたちを集めて一緒に暮らすことにしました。
やがて、子どもたちは大人になってお城の周りに家を作り、お城の周りには村ができます。
そうして大きな村に育った後、子どもたちは大切な恩人である三人にそっくりな塔を建てて物語は終わります。
小学生の子どもには「泥棒」はこわい・悪い象徴とも言える存在です。
しかし、そんな三人がティファニーちゃんと出会ったことで「すてきな三人組」に変化していくストーリー展開はとても楽しくユニークなもの。
人は出会いや些細なきっかけによって変われること、そして助けられた子どもたちが三人に対して持つ感謝や愛情も暖かく表現されています。
この絵本は泥棒が主役でありながら、思いやりや優しさ・感謝の気持ちなどの暖かな感情を子どもに与えることができる絵本です。
「はじめてのおつかい」作・筒井頼子 / 絵・林明子
「はじめてのおつかい」は、5歳のみいちゃんが生まれて初めて1人でおつかいに行くというストーリーの絵本。
赤ちゃんのお世話で手が離せないお母さんのために牛乳を買いに行くみいちゃんですが、お店に行くまでの間も、お店の中でも困難がたくさん。
不安や緊張で張り詰めそうなみいちゃんの心境や、「だけどやらなくちゃ……!」という強い責任感が丁寧に表現されているので、読んでいる子どももドハラハラドキドキしながらみいちゃんに感情移入することができるでしょう。
不安で涙が出そうでも困難に立ち向かっていく勇気や、周りの人の優しさ・達成感などの大切な気持ちを子どもに伝えることができる絵本です。
「ビロードのうさぎ」原作・マージェリィ・W・ビアンコ / 絵・抄訳・ 酒井 駒子
「ビロードのうさぎ」は、古典的名作である「The Velveteen Rabbit」を酒井駒子さんの絵と抄訳により絵本化されたもの。
ぼうやの「ほんとうのともだち」になりたいと願う、ビロードでできたうさぎのぬいぐるみの視点で描かれていて、その繊細な絵と言葉に感情が揺り動かされる作品です。
色んな言葉や環境に傷つきながらもぼうやの「ほんとうのともだち」になれる日を夢見て、考え続けるうさぎのひたむきな気持ちは、子どもに「愛情」や「切なさ」などの感情を教えてくれるでしょう。
絵本は、さまざまな感情を子どもに与えてくれます。
小学生のお子さんをお持ちの親御さんは、ぜひこの3冊を渡してみてはいかがでしょうか。