前回は「アスリートと食事の関係性の糖質」ついてお伝えしました。
今回は「スポーツ栄養の基礎【油】」についてです。
ひと昔前、油は悪!なんてイメージもありましたが、今となっては油は選ぶ時代に入ってきています。どのような油があるのか。そしてどのような油を選んでいけばいいのか、お伝えできればと思います。
そもそも油ってどんな働きをするの?
油は身体にいろんな作用をもたらします。
・エネルギー源
・ホルモンの材料
・細胞膜の構成に関わる
・身体を保護する
など様々な働きがあるのです。
油=体脂肪
そうではなく、人間が生きていくうえでとても必要ですし、アスリートのパフォーマンスの向上や、コンディショニングには欠かせないです。
またこれは私の個人的な意見ですが、最近ジュニアアスリートと関わっていると良質な油を摂れていない選手やむやみに油をカットしている選手は、コンディションの維持に悩む方が多い傾向にあるなと感じます。
油の種類はどんなものがあるのか
脂肪酸は分類方法によって、「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の大きく2つに分けられます。
飽和脂肪酸は、一般的に肉や乳製品に多く含まれる油です。からだにとって重要なエネルギー源となります。飽和脂肪酸は、結合する炭素の長さによって、短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸に分類されます。
不足すると血管がもろくなるリスクなどあります、制限しすぎはよくありません。仮に、摂り過ぎるとLDLコレステロールや中性脂肪を増やし、心筋梗塞、肥満などに繋がりやすいリスクも生まれます。
最近では、ココナッツオイルやMCTオイルなど、中鎖脂肪酸は、長鎖に比べ消化吸収が早く、すぐにエネルギーとして使われ、からだに蓄積されにくいともいわれています。
もう一つが不飽和脂肪酸
エネルギー源でもあり、身体の細胞膜の重要な構成成分です。一価不飽和脂肪酸(オメガ9系)、多価不飽和脂肪酸(オメガ3系、オメガ6系)と分けることができます。
オメガ9系は、オリーブオイル、アルガンオイルなど
オメガ6系は、コーン油、ごま油など
オメガ3系は、亜麻仁油、えごま油、魚油などに分けることができます。
飽和脂肪酸に比べ酸化しやすく、特に多価不飽和脂肪酸は加熱調理には向いていません。また一価不飽和脂肪酸(オメガ9系)は身体で合成することができ、多価不飽和脂肪酸(オメガ3系、オメガ6系)は身体で合成することができません。
では、どの油に注意をして摂っていくのがよいのか
まずはシンプルに身体で合成しにくい油を意識することです。つまり、多価不飽和脂肪酸(オメガ6系、オメガ3系)を意識すること。
ただ、オメガ6系のコーン油、ごま油などは結構手軽に摂れてしまう油なので、オメガ3系の亜麻仁油、えごま油、魚油を意識してほしいです。また、オメガ3系にはアスリートにとって嬉しい役割がたくさん。
まず炎症を抑える効果があるとされています。運動後の筋線維の微細損傷などの炎症を、炎症反応を抑える働きがあるオメガ3は軽減してくれるため、疲労回復を促進させる効果が期待できます。
また心拍数調整効果もあることが示唆されています。積極的に摂っていきましょう。
ただ一点注意したいのはオメガ3は熱に弱いということ。そのためサラダにかけたり、納豆にかけたり、ヨーグルトにかけたりと、そのままオイルをお召し上がりになることをお勧めします。
1日小匙1くらいの量で良いので、少量ずつ生活に取り入れてみてください。
その他、覚えておいてほしい油について
その油は、「トランス脂肪酸」。常温で液体の植物油や魚油から、半固体又は固体の油脂を製造する加工技術の一つに「水素添加」があります。水素を添加することで、トランス脂肪酸ができることがあります。
部分的に水素添加した油脂を用いて作られたマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングや、それらを原材料に使ったパン、ケーキ、ドーナツなどの洋菓子、揚げ物などに、トランス脂肪酸が含まれているものがあります。
この人工的な油がジュニアアスリートの時期に多く摂りすぎてしまうのが怖いことなのです。海外では規制が入ってきているほど身体にとってあまりいい作用をしないので、今後しっかりチェックしておくことが大事です。
パン、ケーキ、ドーナツなどの洋菓子、揚げ物が大好きなジュニアアスリートは多いのが現状です。習慣化にならないように気を付けていきましょう。
油は様々な種類があって迷うことも多いように思いますが、質をしっかり見て、選んでいくとコンディショニングがしやすくなります。それがパフォーマンス向上に繋がっていきますので、ぜひ食卓で摂りいれてみてください。